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エコ談議

 MDって、覚えている?

 20年以上前、わずかな期間だったが、録音媒体として存在していた。

 手のひらサイズのディスクで、80分録音できた。

 カセットテープからCD-Rに移行する隙間に、流行っていたのだ。

 物入れから、MDが数枚出てきた。

 タイトルは、「エコ談議」である。

 1回分15分弱のラジオ放送の録音である。

 こんな所に仕舞ってたんだ。

 さて、どうやって聞こう。

 MDプレイヤーなど、とっくに存在しない。

 ああ、そうだ。

 車のオーディオにMDの再生が付いていたはず。

 テーマソングは、アイルランド民謡。

 そうそう、こんな始まりだった。

 

 2003年8月、喜多方市にコミュニティFMが開局した。

 たまたま喜多方へ行った時、偶然にも喜多方の友人から電話が来た。

 友人は、これから開局するFMのスタッフとして働いていると言った。

 今、喜多方にいるんだけど〜と言うと。

 見に来る?

 うん、行く〜

 軽いノリで、スタジオへ行った。

 軽いノリで、パーソナリティーに誘われた。

 軽いノリで、やる〜と言っていた。

 当時、コミュニティFMが各地で開局していた。

 周囲10キロほどの防災無線を兼ねたミニFMである。

 喜多方にも、それが出来るという。

 実に、軽いノリで開局スタッフに加わることになった。

 碧い月が三春に移転したばかりの時だ。

 あの頃は、毎週水曜日が定休日だった。

 その水曜日の朝10時から2時間の生放送を担当することになった。

 ついでに、他3人の友人も引き入れることになった。

 みんな、実に軽いノリだった。

 ほぼ素人の集団である。

 開局までは、それなりに大変だった。

 だが、ものすごく楽しかった。

 休みなく働いていた割には、実入りは少なかったが。

 毎日がワクワクしていた。

 やりたい事とやれる事のジレンマはあったが。

 とてつもなく、満たされていた。

 その番組の中で「エコ談議」というコーナーを作ったのだ。

 2時間の生番組中、一般ニュースと天気予報、交通情報以外は、全て自由だった。

 ま、放送作家も構成作家もいないから、自分でなんとかしてね。って事。

 番組は、15分刻みでコマーシャルが入る。

 音楽も入るので、13分前後でコーナ番組を作った。

 当時、まだエコロジーという言葉が出始めた頃である。

 まずは、エコロジーの意味の説明から始める。

 ただ、こういう類の話は、硬っ苦しくなりがちだ。

 そこで思いついたのが、関西弁とちょっと天然の二人のやり取りである。

 面白おかしく、分かりやすく。

 でも、ちゃんと真髄もつく。

 我ながらいいアイディアだと思った。

 

 その録音が出てきたのだ。

 20年ぶりに聴いてみた。

 一発収録なので、ちょっと噛んでる時もあるし、音質も素人レベル。

 それでも、いい作品だと思える。

 音楽著作権の問題があるから、このままネット配信はできないが。

 埋もれさせるのが、惜しい気がする。

 時代が変わり、データ的な部分は変更が必要だが。

 う〜ん。

 原稿、掘り起こして、手直ししようかな。

 なんてね。