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最北端

 礼文島からフェリーで揺られること約2時間、最北の地稚内に着いた。

 結構な人が乗っていた気がするが、船を降りるとあっという間にいなくなってしまった。

 スーツケースを引っ張りながら、街へ向かう人がちらほら。それに混じってJR稚内駅に向かった。道の駅と商業施設が一緒になった駅は、最北の地を思わせる佇まいとは言い難い。

 最北端の線路

 この案内がなければ、見過ごしてしまいそうなくらいビルの中の一部だった。

 さて、朝一の船でここまできたが、今日の飛行機には乗れない。今夜は、稚内に泊まって、明日の朝の便で千歳まで向かう。

 とりあえずホテルに荷物を預けて、昼食を食べよう。

 って、最北の地・・・シャッター通りなんですけど・・・

 なんとか見つけた地元御用達的な喫茶店でカレーを食べた。

 この時点で、ノープランだった。

 人気のない街を少し歩いて、駅の中にあるバスセンターへ行った。

 すると、宗谷岬へ行くバスが数分後に来ると分かった。

 おお、そりゃ行かねば。

 慌てて、往復チケットを買って、路線バスに乗り込んだ。

 このバスで行くと、帰りのバスまでの滞在時間は、約40分。少し短い気もするが、それが最終バスなのだ。

 最北の岬に想いを馳せながら、揺られ揺られて50分。

 滞在時間より長いじゃんか。

 ま、これが地方の現実よ。

 眩しさで目を瞑ってますが、間違い無く、最北端へ到達いたしました。

 いやー、遠かった。

 観光客は、多くもなく少なくもなく。

 小高い丘にモニュメントがあるので見に行ったが、う・・・ん。

 

 風車が見えたので行ってみたが、閉鎖されていた。

 まぁ、風景は、北海道!!って感じよね。

 そうこうしている内に、帰りのバスの時間になっていた。

 バス停には、割と人が並んでいる。

 来る時乗っていた人が、ほとんど並んでいた。

 何しろ路線バスなので、座れなかったらキツイなぁと思いつつ乗車。

 ギリ座れた。

 ふぅ。

 街に戻りホテルにチェックイン。

 食事は付いていないのだが、外へ出て食べる元気はもうない。

 北海道最後の夜だが、地元スーパーのお惣菜。

 でも、これがめちゃウマだった。

 福島空港より小さな稚内空港。

 チェックインもあっという間、お土産屋さんもこじんまり。

 時間通りに飛び立った。

 パッチワークな田園風景を眺めつつ、ジュースを飲み終えると千歳空港到着。

 福島便まで空港内を散策、せっかく来たのだから札幌ラーメンを並んで食べた。

 千歳空港は、もう一つの街くらいに広い。

 なんでもある。映画館まである。

 人の多さに、ちょっと疲れた。

 

 奇跡の一枚。

 乗っていた飛行機が雲に映った。

 

 さぁ、旅も終わりだ。

 あれこれと問題が起きそうなこともあったが、ギリギリで全部上手く行った。

 めでたしめでたし。

 

 追伸

 20数年前、礼文島で住み込み求人を見つけ、応募したことがあった。

 年齢制限はあったのだが、ダメ元で電話したのだ。

 結果。

 あ、うちは20代じゃなきゃ採用しないから。

 みなまで聞かずに、電話が切られた。

 そりゃ、20代じゃなかったけど、仕事はできるぜぇ。

 と、心で叫んだ。

 今回、その屈辱を晴らすべく、礼文島へと渡ったのだった。

 あの時、採用されていたら、今の「碧い月」は存在しないかも知れない。

 そう、かもね。