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草ぬき

 コロナ禍での休業中、駐車場脇の荒地を開墾した。

 この土地は、地域の共有地らしいのだが、看板を立てさせてもらう代わりに雑草の始末をすることにした。

 それまでは、隣の畑のおじちゃんが、草刈りをしていた。

 だが、歳を重ねるにつれ、草刈りもしんどくなり、除草剤を撒くようになっていた。

 荒れた地にするのは、農家として許せなかったのだろう。

 多くの農家さんは、作物を作らなくなっても、雑草畑にするのをことごとく嫌う。

 伸び始めた雑草は、根こそぎ枯れる除草剤を撒かれる。

 あの次第に朽ちてゆく光景を見るのは、息苦しくなる。

 緑豊かな季節に、赤茶色に枯れてゆく草たちを見るのは、切なくなるのだ。

 せめて、駐車場脇だけは。

 そんな思いもあって、この場所の管理を志願した。

 それがコロナ禍前だった。

 花を植えようと思った。

 だが、そもそもが畑でもない荒地である。

 何をどうしたらいいか悩んでいるうちに時は流れる。

 結局草まみれにしてしまう。

 荒地でも育つアップルミントとワイルドストロベリーを移植することから始めた。

 この二つは、ものすごい繁殖力を持つ。

 次に、コスモスを撒いてみた。

 全くの無計画さだが、秋には花を咲かせた。

 しかし、大雨が降ると、上部から流れる水で泥まみれ、花も倒れてしまう。

 水の道を作らねばならない。

 あれこれやっているうちに、なんとなく形が整ってきた。

 年々少しずつ。

 本当に少しずつ、進化した。

 休業を決めたコロナ禍中は、毎日が定休日である。

 一輪車に石やレンガを積んで、せっせと運び、鍬やスコップを使って組み込んだ。

 ホームセンターから、見切り品の苗を買って、これまたせっせと植え込んだ。

 そもそもが痩せた土地なので、育ちは決して良くなかったが、それでも見切り品とは思えないほど花が咲いた。

 しかし、植えた花の傍から、スギナがぐんぐん伸びてくる。

 それを引き抜きながら、株を増やしてゆく。

 来る日も来る日も、草をぬき続ける。

 全面を機械で耕し、育苗された苗を買い、肥料を漉き込んで植え付ければ、美しい庭になるだろう。

 しかし、私はケチである。

 金に糸目をつけずに、庭作りをするなどあり得ない。

 見切り品の苗、もらった苗、拾った種。

 資材も大家さんの工務店から出た廃材。

 お金をかけなくても、手間隙を惜しまなければ、何とかなる。

 少し先の未来を想像しながら、コツコツと。

 それが、夢の実現であ〜る。

 今日もまた、スギナを一本ずつ引き抜いて、何を植えようか考える。

 草ぬきの日々こそが、進むべき一歩なのだ。

 庭作りに終わりはない。

 

 ワイルドストロベリーとミント類の苗は、ご希望があればいつでもお譲りいたします。

 玄関先に出している時もありますが、事前にメール頂ければ、株あげしておきます。

 ただし、いずれも増殖しますので、地植えの際はよ〜く考えて植えてください。