まるでマンゴーのような色と香り。
初めてこの桃を食べた時、黄桃の概念を覆された。
黄色い桃は、酸っぱくて生食には向いてないものだと思っていた。
加工することで、美味しくなる種類だと思っていたのだ。
実際、私の幼少期はそうだった。
生で出回る事もなかったし、黄色い桃を栽培している畑を見た事もなかった。
ま、あくまでも子供目線でだけどね。
黄色い桃は、缶詰しか知らなかったのだ。
果樹農家の友達が出来て、様々な種類の桃を知ることになった。
この黄金桃も、その一つである。
黄金の名に相応しい味と香りである。
コンポートにすると、さらに美味しさは倍増される。
ただ、収穫期が短いのだ。
タイミングを逃すと、お目にかかれない。
収穫最終日に、ギリギリセーフで間に合った。
私が入手するのは、ちょっと傷ありのハネものと呼ばれるB級品である。
どこに傷があるの?と思えるものから、そりゃ、売れないわね〜と納得するものまで。
市場に出せないハネられた品を仕入れる。
傷がある分足も早いので、速攻で加工しなければならない。
ちょうど気温が下がっているので好都合。
まずは、ビンを買いに出かけた。
一番近いホームセンターでは、使いたいサイズが売り切れだった。
事前に用意しておけば良かったと後悔。
ま、仕方ない。
街まで出てゲット。
さぁ、ビンの煮沸消毒からだ。
一番大きな鍋でも、一度に4本しか入らない。
ビンとフタをグツグツ煮るのだ。
次に大きな鍋では、桃を煮る。
黄金桃のいいところは、種と身が剥がれやすい。
四つ割にした身の皮を剥き、種の部分をこそげる。
傷んでる部分があれば、切り取る。
延々と桃と格闘しつつ。
ビンが煮えたら乾いた布巾の上に伏せておく。
この時、BBQ用のトングが役に立つ。
瓶の内側の水滴は、キッチンペーパーで拭う。
この時も、トングが役に立つ。
何しろ熱いうちにやらばければならないからだ。
雑菌がつかないように、直には絶対触らない。
桃は切り終わったら、レモン汁と砂糖を加え中火にかける。
砂糖は、水分を引き出す役目もあるが、桃の美味しさがあるので必要最低限に抑える。
私のコンポートは、水は入れない。
果物の水分だけで加工する。
ふつふつと煮えてくると、アクが浮いて来る。
もう、わらわら浮いてくる。
木べらとレードルを駆使して、実をつぶさないようにアクとるのが一番の大仕事。
透明な泡になったら、そろそろ完成である。
熱湯消毒したレードルで、熱いままビンに詰めてゆく。
フタのギリギリまで詰め、軽く蓋をして、再び煮沸消毒。
これは脱気も兼ねているので、湯気のたつ蒸し器で30分近く加熱する。
蒸し上がったら、熱いうちにフタをしっかり閉める。
これで、中の空気が抜けるのである。
4本のコンポートを作るのに、2〜3時間つきっきりで作業するのである。
これを4回繰り返した。
詰めきれなくて残ったシロップは、熟しすぎた実を加えジャムにした。
これは、煮詰めるのに1日では終わらなかった。
出来たのは、こちらも4本。
最高に効率の悪い仕事である。
でも、味は格別。
加工品は、手がかかる。
しかし、自分の手で作ったものだから、安心してケーキに使えるのである。
ま、自己満足だけどね。
今週末は、黄金桃を使ったケーキになるよ。
さて、どんなケーキに添えようかな〜
って、桃の方がメインなんだけどね。
加工中、涼しくてよかったぁ。