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埋もれた

 この映像の中央に、店が存在すると、誰が気付くのだろうか!?

 看板の文字も薄れてきている。

 通りに覆い被さった枝葉は、緑のトンネルを作り出している。

 エモいと感じる人と、キモいと感じる人。

 どっちもいるだろうなぁ。

 ま、私は、異空間への入口みたいで、結構好きだけどね。

 

 ひまわりは、お盆を待たず咲き誇っている。

 コキアの成長がいまひとつだが、タネから育てた割には上手くいった方だと思う。

 移植したチャイブは、良い感じの株になった。

 草は容赦なくグングン育つ。

 草よけのグランドカバーに植えているワイルドストロベリーも旺盛である。

 ランナーをグイグイ伸ばし、子孫を増やそうと必死である。

 植えた当初は、それが嬉しくて、子株をほとんど育てていた。

 が、その繁殖力の凄さ。

 今は、片っ端から引き抜いている。

 自分で育てておいて、始末するやるせなさ。

 理想の形にするには、犠牲も必要。

 って、人間て傲慢か。

 庭造りは、難しい。

 

 この時期、ケーキ添えるボリジ。

 三十年以上前に裏磐梯のハーブガーデンで初めて遭遇した。

 道路沿いに青い星が散らばっていた。

 その花が「ボリジ」と知るのは、その後ハーブの本を開いてからだった。

 次々と咲く夏の花だが、暑さや湿気が苦手である。

 なのに、水が切れるとすぐに萎れてしまう。

 全体に細かい毛で覆われているので、素手で触るとは、チクチク痛い。

 そして、柔らかいので、自立が難しい。

 今年は、何度かの困難を乗り越え無事開花時期を迎えた。

 タネから育てた植物が花開くのは、嬉しいものである。

 今日も蝉が鳴いている。

 暑くなりそうな気配。いや、予報。

 草を取ったり、桃を煮たり、クッキーを焼いたり。

 これまでと変わらない日々を過ごせる幸せ。

 特別なことは、何もいらない。

 ただ、淡々と日々が暮らせれば、それでいい。