台風が過ぎ去った翌日だったかな。
やけにトンボが多いと思っていたのだが。
ふと見上げると。
尋常じゃない数のトンボが、ものすごい勢いで西へ向かっていた。
寄り道する気など毛頭ないのだろう。
もう、一心に、全員が西へ向かって全速力で飛んでいた。
ノアの箱舟に乗り遅れないように。
そんな勢いだった。
が。
ニュースでも、ネットでも、そんな話は見当たらない。
あれほどの小さな飛行機がビュンビュン飛んでいるのに。
気が付かないのか。
よくある事なのか。
見上げる人がいないのか。
あんな数のトンボを見たのは、子供の頃以来である。
夏休みの夕暮れに見た、トンボの大飛行。
あの時も、手を伸ばせば、鷲掴みにできるほどのトンボが飛んでいた。
でも、今回みたいに同じ方角へ向かってはいなかったよなぁ。
ねぇねぇ、誰か見なかった?
ま、何があっても、いちいち驚いていられない世の中だけどね。
それとも、夢だったのかなぁ。