12月 1日(水)待ち焦がれた朝が来た。
お腹の鈍い痛みは続いていたが、ひどくなる事もなく、現状維持だった。食事は、小学生の胃袋並だが、だいぶ食べられるようになっていた。
朝食が終わると、帰る準備を始めた。帰る気満々の私は、荷物をすっかり片付け、着替えも済ませた。
担当医の診察は、外来が終わってからになると言われた。
最初に同室だった子も、今日退院だと分かり、談話室で喜びを分かち合い、退院したら、何を食べるかで盛り上がっていた。
ようやく診察の順番が来た。
担当医は、痛みの有無を聞いた後、1週間程度で手術日程が決まり、その後の担当は、外科になると告げた。相変わらず言葉少ない。
これで、退院許可がおりた事になるらしい。
今後のざっくりとした日程さえ分からない。
付き添いの看護師に聞いてみると、はっきりした事はわからないけど、年内に手術はないと思うと言われた。
コロナ禍で手術数を減らしているらしく、混雑しているそうである。
だから、ステントを入れたのか。
そう、ぼんやり考えた。
確かに、腸閉塞を起こしかけてはいたが、塞がってはいなかったので、すぐに手術ならその措置は割愛しても良かったかも知れない。
ま、素人考えだけど。
ステントが入ったまま正月を迎えるのは、ちょっと嫌だったが、仕方ない。
ともかく、今日は退院だ。外の空気が恋しい。
会計や食事指導を済ませると、午後2時近かった。
20日ぶりの外気である。
外の寒さを感じられるのが嬉しかった。
ステントで腸内空間は確保されているが、何を食べてもいいわけではない。基本は、病院食に準じて消化のいいものをよく噛んでだ。
自分の布団で眠るのは、やはり、全然違う。安心感が違う。心地よさが違う。
そして、何よりも静けさが違う。
エアコンや様々な器具の音で、静寂とは無縁だった病室とは全く違う。
退院後の夜は、ぐっすり眠った。
翌朝、雪景色だった。
季節は、冬なのだ。
3週間足らずの入院だったが、季節が変わってしまっている。
冬支度をしなければならない。
植物を室内に取り込み、外水道の元栓を閉めた。
色々やるべき事はあるが、焦らず行こう。
体調は悪くない。食欲もある。ただ、絶食期間が長かったので、たくさんは食べられない。お腹いっぱい食べたい欲求はあるが、ステントが詰まったら、とんでもない事になる。それでも、食べたい物はある。一口、二口で我慢する事にした。
相変わらず、下剤は飲み続けている。非刺激性の薬なので、緩やかに効いていた。
ところが、退院して三日目の未明、じわじわと腹痛が襲ってきた。いつもの鈍い痛みとは明らかに違っていた。痛みは引かない。下痢をしているわけでもない痛みは、徐々に酷くなり、横になっているのも辛くなってきた。
病院が始まる時間を待ち電話をした。
たまたま、土曜診療がある日だったのだ。
診察までの時間が途方もなく長かった。途中、椅子に座って居られなくなり、処置室のベットに横になったが、その体制も辛い。思わず、呻き声が漏れるほどだった。
歩くこともままならなかった。
再入院決定。
あ〜あ、たった二日間の退院だった。
ま、症状は、痛み止めの点滴が効いて、夕方には回復したのだけどね。
12月 4日(土)入院生活第二章が始まってしまった。