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休業232日目

那須朝日岳

 氷点下だったと思ったら、小春日和のぽっかぽか。空は青く澄み渡り、もう、どこまでもグングン澄み渡り、山が、おいでと手招きしてる。

 

 相変わらず、遊んでいます。

 せめて体が鈍らないようにと、近くの山を歩いていたのだが、風が冷たく耳が凍りそう。それでも、落ち葉が敷き詰められた道を歩くのが、大好きである。葉の落ちた山道に差し込むお日様は、もう、優しくて、暖かくて。だから、葉の落ちた季節がたまらなく好きなのだ。

 でもね、霜が降り始めると、足元は、ぐっちゃぐちゃになってしまう。泥んこになってまで、山歩きをするのは、ちょっと気が滅入る。足元にばかり気を取られて、風景を楽しめなくなる。軟弱であるが、快適に楽しみたいのである。

 10日ほど前、安達太良山の塩沢コースへ行ったが、僧悟台という見晴らしのいい場所を過ぎたくらいから、お天気が怪しくなり、ついで、前日に積もった雪が溶けて、ぐちょぐちょになって来た。降りてくる人の足元が泥だらけ。ついで、尾根は強風だと聞き、もう、スタコラさっさと下山した。

 ここまで登ったのにもったいない。尾根までもう少しだよ。

 泥だらけの主に言われたが、私は、ピークハンターではないので、絶対頂上へ立ちたい願望はない。そりゃ、立てたらいいけど、歩いている行程が好きなのだ。危険を冒してまでの登頂はしない。

 と言うとカッコいいが、根性なしなだけである。

 よって、冬山もやらない。

 雪前に、どっか登りたいなぁ。

 むむむ、お天気晴マークが続くぞ。

 おおお、風も弱そうだぞ。

 よっしゃ、行くか。

 風なし、雲なし、ぽっかぽか。

 ひゃっほー

 真面目に働いている方々、ごめんなさい。このお天気の誘惑には、勝てましぇーん。

 行くよね。この青空だもん。

 午前9時、那須の峠の茶屋駐車場に到着。朝日岳を目指して、いざ出発さ。

 日陰には、数日前の積雪跡が凍っているが、道を覆うほどではない。途中溶けてる場所もあったが、避けて通れる程度だった。写真を撮り合う楽しげな若者たちを、ひょいひょい追い越し、ぐんぐん登る。あっという間に茶屋跡避難小屋に到着。ここから道が三方向に分かれる。ほとんどの人たちは、茶臼岳に登ってゆく。私は、反対の朝日岳に向かった。

 すれ違う人も、ほとんどなく、鼻歌まじりにぐんぐん登る。と、間もなく頂上。

 え、こんな近かったっけ?駐車場から1時間で目的地到着。

 え、まだお昼ご飯には早いし、おばちゃんグループがはしゃぎ過ぎてうるさいし。

 よっしゃ、もう少し先に行ってみよう。

 と、以前から気になっていた三斗小屋温泉に行ってみることにした。もちろん、事前にリサーチはしてある。

 が、ここから先は、初めてのゾーンとなるので、無理はしない。

 と、心に誓う。

 三斗小屋温泉までは、隠居倉のピークを越えて、どんどん下るのだ。帰りは、茶屋跡避難小屋からの最短ルートがあるので、ぐるっと周遊するコースになってる。

 ワクワクして来たぞぉ。

 隠居倉との分岐に着いた時、後続の女の人に声をかけられた。

 三斗小屋温泉にまで行くなら、ついて行っていいですか?と言われた。

 初めて行くコースなので、役に立たないですよ。と言ったが、

 ひとりじゃ心細いから。と。

 断るのも、どうかと思い。同行する事になった。

 話を聞くと、その方は、何度もこの道を通っているが、クマが心配なので、一人では通らないそうだ。

 旅は道連れ。

 隠居倉の頂上でコーヒーを沸かしている人がいた。ものすごくいい香りで、思わず。

 匂いだけ、ごちそうさま。と言って笑った。

 ここまでは、大きな問題もなく、順調だった。ちょっと凍っていても、滑るほどでもなかった。ただ、お昼ご飯のタイミングが難しい。行動食と飲み物で、空腹感はなかったので、とりあえず、三斗小屋温泉まで行ってみるか。と。

 だが、ここからがデンジャラスだった。

 西の谷間に向かっているので、掘りえぐられた登山道には、陽の光が届かない。つまり、雪が溶けていないのだ。それだけではなく、凍っている。ツルツルな氷状態なのである。しかも、下りだ。

 おそらく一人だったら、早々に挫けて引き返しただろう。

 慎重に一歩ずつ、でも、状況を楽しみながら、三斗小屋温泉へ向かう。

 硫黄の匂いがしてきた。と思ったら、黙々と湧き上がる湯気。

 三斗小屋温泉の源泉だった。

 その頃には、ツルツルゾーンも終わっていた。

 足元から、ブクブクと源泉が湯気を上げている。

 ダイナミックな自然の息吹きに、テンション上がるわー

 程なくして、三斗小屋温泉に到着した。が、休憩できそうな場所もなく、そのまま通り過ぎてしまった。のが、ちょっと心残り。入浴する準備はしていなかったが、ジュース買って飲むくらいはすればよかったなぁ。

 で、昼ごはんのタイミングよ。さて、どうしたものか。

 この先に、避難小屋があるので、そこでにするか。と、もそもそ考えて歩く。

 ここからは、ものすごくいい道。その昔、牛が荷を運んだ道なので、遊歩道のように整備されている。三斗小屋温泉に来るには、この道を通るのが一般的なのだ。

 葉の落ちたダケカンバの森を歩く。落ち葉をサクサク踏んで歩く。

 ・・・お腹がすいた。

 もう、風景に感嘆していても上の空。やっとこさ、避難小屋が見えた時には、スキップしたくなった。迷う事なく、お昼にしましょうと言うと。

 ここまでありがとうございます。私、この先まで行きますので。

 あっけなく、その方は去っていったのだった。

 えええぇ!?

 ま、一緒にご飯も微妙なご時世ですもんね。

 う、だったら、もう少し早く、ご飯タイムにすればよかった。

 他人と同行って、難しいわ。

 青空の下、のんびりとたらふく食べて、エネルギーチャージ。

 茶屋跡避難小屋まで、最後の登りをやっつけて、周遊完了。あとは、駐車場まで下るだけ。

 ものすごーく楽しかったけど、やっぱ、にわか同行は、疲れるわ。

 葉の落ちた木々は、次の春の芽をしっかりと育てておりました。

 

 ということで、毎日楽しく暮らしております。

 再開については、悩むところです。

 ですが、いつまでもこのままじゃアカンのも自覚しております。

 実に試験的ではございますが、今週末に臨時営業してみます。

 飲食店でありながら、店内飲食なし、テイクアウトもなしの物販だけです。しかも、このページを見ている方しかお知らせしていません。よって、企画倒れで笑うしかない可能性もあります。

 ですが、まぁ、やってみっぺ。

 当日は、玄関先での受け渡しになります。サービスコーヒーをご用意しますが、テラスでのご利用でお願いいたします。

 また、アルコールジェルとおしぼりは、準備しております。

 万が一、売り切れちゃったら、ごめんなさい。

 そうなりゃ〜いいけどね。