少し前まで、現実感が伴っていなかった。
世の中で騒がれていても、ここには、それほど影響がないと、ぼんやり思っていた。実際、お客様の動向を見ても、特に変化もなく。いつも通り、増えもせず、減りもせずな状況だった。
先週末、東京都が外出自粛を打ち出したが、どこか、遠い場所の。いや、映像の中だけの出来事にさえ思えていた気がする。
情報は、惑わされず読み解く努力はしている。踊らされないように、と戒めながら冷静に受け入れているつもりだ。それでも、どこか絵空事のように感じていたのだと思う。
週末、首都圏の外出自粛に伴い、福島県も首都圏への外出を控えるよう通達があった。しかし、強制力はない。現時点での感染者が2名で抑えられており、接触者の感染も今のところは無い。それは、喜ばしくもあるが、恐くもある。
なぜなら、他人事になってしまうからだ。
日曜日、春の雪が積もっていた。空からは、チラチラとまだ落ち続けている。
こんな日は、だいたい暇である。
実は、店を開くか、休むか、少し悩んでいた。だが、きっと暇だろうし、こんな天気の日にわざわざ来てくれた人を帰すのは忍びないと思い、店はOPENした。ケーキを無駄にしたくないセコさもあった。
だが、私の予想を裏切るほど、繁盛した。悪路の中、次々とお客様は途切れない。嬉しい悲鳴と通常なら浮かれるが、日曜は違った。
恐ろしくなった。
短時間で楽しむ方もいれば、おしゃべりに興じる方もいる。そりゃ、友達とカフェに来てだんまりでコーヒーをすする人はいない。
店は、決して広くはない。吹き抜けの開放感はあるが、手を伸ばせば、隣の席に届く距離である。二組くらいならいいが、満卓になった場合の密度は、濃い。
もしここに、無症状感染者がいたら。
もしここに、高齢者や、病人を抱えた人がいたら。
そして、この人たちの職場や交友関係、その家族・・・。
考え出したらキリがないのだが、その想像力を失うことが感染拡大に繋がるのだ。
保身もある。
だが、今、リスクを伴う場所を提供している自覚を持たなければならない。
結論
店は、しばらくの間お休みいたします。
期限は不透明ですが、解決策が見つかるまで、営業を自粛しようと決断しました。
何が正解かはわかりません。
後で笑い話になる事を願って、春眠に入ります。